埼玉県には非常に多くの沼があります。
しかしその多くはあまり知られておらず、また実際に訪れるにあたっても十分な情報を入手するのが難しいのが現状です。
そのため、釣りや散策を目的に訪れても現地に着いてから『思っていたのと違った』と感じることが少なくありません。
そこで、この記事では私たち沼探が実際に訪れた埼玉県内の沼について、釣りの可否、駐車場や休憩設備の有無、沼や周辺の雰囲気などを詳しく紹介します。
この記事を読むことでそれぞれの沼の特徴を把握し、自分の目的に合った沼を見つけやすくなります。
- 伊佐沼(いさぬま):川越市
- 柴山沼(しばやまぬま):白岡市
- 弁天沼(べんてんぬま):久喜市
- 栢間沼(かやまぬま):久喜市
- 鯉沼堰(こいぬませき):鴻巣市
- 関沼(せきぬま):さいたま市
- びん沼(瓶沼-びんぬま):富士見市
- 三ツ又沼(みつまたぬま):上尾市
- 白山沼(はくさんぬま):比企郡
- 中池(なかいけ・別名「川田谷沼」):比企郡
- 荒沢沼(あらさわぬま):上尾市
- 薬師沼親水公園(やくしぬましんすいこうえん):春日部市
- 慈恩寺沼(じおんじぬま):さいたま市
- 上院調節池(じょういんちょうせつち):さいたま市
- 内牧黒沼公園(うちまきくろぬまこうえん):春日部市
- 黒浜沼・上沼(くろはまぬま・うえぬま):蓮田市
- 黒浜沼・下沼(くろはまぬま・したぬま):蓮田市
- 赤坂沼(あかさかぬま):さいたま市
- 昭和沼(しょうわぬま):久喜市
- まとめ
伊佐沼(いさぬま):川越市

埼玉県最大の自然沼であり、農業用の貯水池としても機能しています。沼畔には伊佐沼公園や遊歩道が整備され、散策やピクニックに最適です。また蓮や桜、ヘラブナ釣りの名所としても知られています。(Wiki)
伊佐沼は埼玉県最大の自然沼で、関東地方では印旛沼に次ぐ広さを誇ります。農業用の貯水池としても利用されており、季節によって水位が大きく変動するのが特徴です。
特に冬場は渇水期にあたり水位が大きく下がるため、沼の底が露出して干潟のような独特の景観が広がります。今回訪れた2月も水量が少なく、まるで小さな入江のような風情があります。


沼畔には遊歩道や公園が整備されており、四季折々の景色を楽しみながら散策することができます。
また多くの野鳥が飛来し、羽を休める姿を観察できるため、バードウォッチングにも適したスポットです。




ここはヘラブナ釣りの名所としても知られていますが、水位が低い冬場は釣り人の姿はほとんど見られませんでした。
しかし4月になると「導水」という作業が行われ、一気に水が引き込まれることで釣りに適した環境が整います。そのため春以降は釣りを楽しむ人々で賑わうようです。




また沼の近くには「伊佐沼農産物直売所」があり、地元で採れた新鮮な野菜などを購入できます。今回は平日の訪問だったため閉まっていましたが、観光ついでに立ち寄るのもおすすめです。
個人的にこれまで訪れた沼の中でも特に印象に残る場所であり、季節が変わったらまた訪れてみたいと思える魅力的なスポットでした。




柴山沼(しばやまぬま):白岡市

埼玉県内では川越市の伊佐沼に次ぐ広さを誇る自然沼。元荒川の流れによって形成された河川跡で、水深は約8メートル。ビオトープの整備が進み、自然環境が保たれている。釣り場としても人気が高い。(Wiki)
柴山沼は公園として整備されており、沼の周囲を一周できる遊歩道が設けられています。
散歩やジョギングを楽しむ人の姿も多く、東屋や桟橋が点在しているためピクニックにも適しています。





またここは釣りの名所としても知られ、年間を通して多くの釣り人が訪れます。特に東側のエリアは釣り人が多く見られました。
訪問時は寒波の影響で厳しい冷え込みの日でしたが、それでも熱心な釣り人たちが竿を構え、起き竿をして車内で待機しながら粘る釣り人の姿も見られました。


なお、釣り券の購入が必要との看板がありましたが公式HPにはその記載はなく、現在は不要になったとの情報もあります。

夕方には美しい夕焼けが水面を照らし、幻想的な風景が広がっていました。またビオトープとしての機能も果たしており、鳥たちが飛び交う自然豊かな環境が印象的です。
釣りや散策だけでなく自然観察にも適した場所なので、訪れる際は環境保全を意識しつつ、この穏やかな沼の魅力を堪能してみてください。





弁天沼(べんてんぬま):久喜市

農業用貯水池で、水面にはフロート式の太陽光パネルが設置され、発電所としても利用されています。部分的に遊歩道が整備されているものの、全体的に無機質な雰囲気。釣りは禁止されています。(Wiki)
沼の周囲は約650mで、見た目はまさに「溜池」といった印象。しかし水面にはフロート式の太陽光パネルが広がり、まるで水上発電所のような景観になっています。
部分的に遊歩道が整備されており散策は可能ですが、何となく無機質な雰囲気。



東屋やベンチなどの休憩スペースもありますが、太陽光パネルの存在によって憩いの場というより機能的な場所と言えるでしょう。
また釣りは禁止されており、「釣り禁止」の看板が複数設置されています。そのため釣り人はおらず、散歩をする人の姿もほとんど見かけませんでした。


環境面では沼周辺の不法投棄がかなり目立ちます。「不法投棄禁止」の看板があるものの、ゴミが散乱している箇所もあり、より近寄りがたい雰囲気を作り出してしまっています。
一方で農業用水の貯水機能と太陽光発電を兼ね備えた「多機能沼」としての役割を考えれば、実用性の面では非常に有効活用されているとも言えます。



今後、ビオトープとしての機能追加や環境美化が進めば、より魅力的なスポットになる可能性もあるでしょう。
現時点では、自然を楽しむ場としては物足りない部分が多く、散策や観光目的で訪れるには少々厳しい環境です。



栢間沼(かやまぬま):久喜市

太陽光発電施設の沼。水面には無数のソーラーパネルが浮かび、沼全体が発電所のような景観を持つ。周囲は鉄製フェンスで囲まれ、監視カメラや警報システムが設置されている。(Wiki)
栢間沼は太陽光発電施設として利用されている沼で、Googleマップにも「太陽光発電所」として登録されています。水面には多数のソーラーパネルが浮かび、完全に発電施設のような景観です。



沼の周囲は鉄製フェンスで囲まれて監視カメラが設置されているほか、人が近づくと警報が鳴る仕組みになっています。
歩道を通っているだけでも警戒されるような雰囲気があり、散策を楽しむような環境ではありません。むしろ人が近づくことを拒絶しているようにすら感じます。


公園としての機能はなく、駐車スペースやトイレ、休憩施設も一切ありません。周辺には店舗もなく広がるのは農地と圏央道の高架線のみ。一般の人が訪れる目的を見出すのは難しい場所です。
一方で農業用水の供給と再生可能エネルギーの活用という点では、弁天沼と同様に機能的な利用がなされているといえます。
しかし散策や釣りを目的に訪れる場所ではなく観光地としての魅力はほぼないため、訪れる際はその点を理解しておく必要があります。



鯉沼堰(こいぬませき):鴻巣市

埼玉県内を流れる赤堀川に設置された農業用の堰。コンクリート製の小規模な構造で、周囲は田畑に囲まれている。川の水深は浅く、水質はやや悪め。釣り人の姿はなく、訪れる人も少ない。
鯉沼堰は赤堀川に設置された農業用の堰で、周囲は田畑に囲まれています。
コンクリート製のシンプルな構造で常設の水門ではなく、手動で板をはめ込む「角落とし」方式が採用されたレトロ感が漂う水門です。




名称に「鯉沼」とあるものの、沼の痕跡やそれらしい地形は見当たらず、どこか名残を感じさせるものもありません。
川の水深は場所によっては数センチ程度しかなく、水質も決して良いとは言えません。
ゴミが散乱し魚の姿はほとんど見られず、釣り場としての魅力もない。川沿いには鳥が飛来する様子が見られますが、生態系の豊かさを実感できるほどではありません。


近隣住民が散歩やジョギングをしている姿がありましたが、ここを目的地として訪れるような場所ではなく、あくまで生活圏の一部といった雰囲気。
全体的に農業用水の管理施設としての役割が色濃く、水門マニアを除けば訪れる価値がある場所とは言い難いかもしれません。


関沼(せきぬま):さいたま市

鴨川に沿って整備された自然保護公園で、木道やベンチ、野鳥観察施設があります。
沼というより湿地帯といった感じで、木道以外のエリアへの立ち入りは禁じられています。
関沼は荒川の支流である鴨川沿いに整備された自然保護施設で、沼というよりも湿地帯に近い雰囲気です。隣接する「鴨川みずべの里」と一体となり、自然を身近に感じられるスポットとなっています。
湿地帯には木道が整備されており、散策しながら動植物の観察が可能です。園内にはバードウォッチング用の観察スポットもあり、望遠カメラがあれば野鳥の撮影を楽しめるでしょう。






住宅街に近いため、散歩をする地元の方の姿も見られます。
駐車場は「鴨川みずべの里」と共用で、無料で利用できる14台分のスペースがあります。ただし場所が分かりにくいため、こちらのGoogleマップ(地図)を参考にしてください。



釣りについては関沼として水が溜まっているエリアはなく、また自然保護施設ということから木道以外への立ち入りも禁止されているため、実質的に不可能です。
しかし鴨川に降りるための階段が一箇所設置されているため、そこであれば釣りをすることは可能かもしれません。(釣り人の姿も無く、釣りが許可されているかどうかは未確認ですが)


びん沼(瓶沼-びんぬま):富士見市

びん沼は荒川の旧流路が切り離されて形成された三日月湖の一種で、曲がりくねった特徴的な形状をしています。
現在は水門によって流れが管理されており、ほとんど流れがないため実質的に沼のような状態になっています。そのためヘラブナ釣りの名所としても広く知られています。


また沼の西側には富士見市が整備した「びん沼自然公園」が広がり、パークゴルフ、キャンプ、バーベキューなどを楽しめるほか、子ども向けの遊具も充実しています。
特に休日には多くの家族連れで賑わい、千葉県の手賀沼と並んで関東を代表する「レジャーパーク化した沼」の一例とも言えるでしょう。




公園内には複数の駐車場が整備されているため、車でのアクセスも非常に便利です。休日は駐車料金が発生しますが、平日は無料で利用可能です。
公式サイトを含め、公園内における釣りの可否に関する表示は見当たりませんでしたが、常識的に考えれば、子どもが遊ぶエリアでの釣りは控えるのが望ましいでしょう。



実際に公園内で釣りをしている人はおらず、びん沼東岸や瓶沼橋付近の西岸など、子どもの遊び場から少し離れたエリアで釣りを楽しむ人々が多く見受けられました。
釣り人と家族連れの双方がそれぞれのスタイルで沼活を満喫できる、バランスの取れたスポットとなっています。


三ツ又沼(みつまたぬま):上尾市

荒川と入間川の旧流路の一部と考えられる自然沼で、河川敷の低湿地に形成されたこの沼を中心に、豊かな自然環境を保全するための「三ツ又沼ビオトープ」が整備されています。
三ツ又沼沼は荒川と入間川の合流点付近にあり、かつての旧流路の一部が自然沼として残っています。
Googleマップなどで検索すると「三ツ又沼ビオトープ」としてヒットすることが多く、この保護エリア内の一角に三ツ又沼が存在する形になっています。

アクセスは入間川堤防上の県道、またはサイクリングロードを進みます。駐車場は無料で利用できますが案内表示がなく、駐車場へ下る道が細いため運転には注意が必要です。
駐車場には仮設型のトイレが設置されており、男女別で利用可能ですが設備は簡易的なものです。



駐車場から沼へは徒歩5分ほど。木々に囲まれた自然豊かな道を進むと、典型的な「THE⭐︎沼」の姿をした三ツ又沼に到着します。
きっと多くの人がイメージする「沼」の景観そのものでしょう。




沼から先の木道は徒歩のみのアクセスとなり、バイク・自転車の乗り入れは禁止。また動植物の採取は禁止されており、当然ながら釣りも許可されていません。
また現地には「マムシに注意」という看板も設置されており、特に夏場などは気をつけて散策する必要があります。




白山沼(はくさんぬま):比企郡

かつてはヘラブナ釣りのスポットとして知られていましたが、現在は会員制の釣り場となっており、一般の利用はできないようです。Googleマップにも登録されていますが、私有地の可能性があるため、訪れる際は十分な注意が必要です。
中池(なかいけ・別名「川田谷沼」):比企郡

荒川旧流路の一部で、上池・下池とともに自然再生事業の対象となっています。三つの池のうち、中池のみが釣り人たちから「川田谷沼」と呼ばれ、Googleマップにもその名が記されています。
中池(川田谷沼)は荒川の旧流路が切り離されて形成された池のひとつですが、Googleマップ上でも「中池(川田谷沼)」と記載されているため、中池のみ本データベースでも扱っています。
なお、旧流路の上流から上池・中池・下池の3つの池が点在しますが、「川田谷沼」として認識されているのは主に中池です。


中池へのアクセスは荒川の堤防を越えた先にある駐車スペースを利用し、そこから徒歩約10分ほどで中池を眺めることができる「水辺の休憩所」に到達します。
この一帯は「太郎右衛門自然再生地」として環境保護が進められているため、現在では「動植物の採取はしないで下さい」という案内看板が掲げられています。






かつては特に東岸で釣り人の姿が見られたようですが、近年は周辺環境の変化などから釣り人の数も減って来たという情報もあります。
自然豊かな環境が広がるこのエリアは散策やピクニックにも適しており、のんびりとした時間を過ごすには最適なスポットです。


特に「沼」にこだわらなければ中池から上池や下池方面へ続く散策コースもあるため、自然観察をしながら歩くのにも向いています。


荒沢沼(あらさわぬま):上尾市

桶川市と上尾市にまたがる湿地帯で、かつての釣堀跡とされています。現在は環境保護のための自然公園として保存されており、一般の立ち入りは制限されている可能性があります。
薬師沼親水公園(やくしぬましんすいこうえん):春日部市

埼玉県春日部市にある憩いの場で、国道4号バイパス沿いに位置しています。古くから存在する薬師沼を囲うように整備され、1986年に開園。園内には周回路や釣り場、遊具、桜並木があり、四季折々の自然が楽しめます。
薬師沼親水公園は国道4号線沿いに位置し、釣りを楽しむ人々で賑わう公園です。
公園は以前からこの地にあった薬師沼という沼周辺を整備した形となっており、主に釣り場としての設備が充実。桟橋や護岸が整備され、釣り人がずらりと並んでいる光景が印象的です。






釣りに関しては、ギャング(ひっかけ)や投網は禁止されていますが、基本的には自由に楽しむことが可能。水質は決して良いとは言えませんが、無料で利用できる公共釣り場として人気のスポットです。
公園内にはベンチやあずま屋、多目的トイレが設置されており、ちょっとした散策にも適しています。



ただ、隣接する「薬師沼憩いの家」は春日部市民専用の高齢者福祉施設であり、利用できる人が限られている点には注意が必要です。


ここは車でのアクセスが非常に良く、駐車場も無料。特に地元の釣り好きにとっては、気軽に訪れることができる貴重なスポットと言えるでしょう。



慈恩寺沼(じおんじぬま):さいたま市

慈恩寺沼を囲む形で親水公園として整備されおり、ジョギングコース、釣り場も設置されている。夏には蓮の花が美しく咲き、欅や桜の木々が四季折々の風景を楽しませてくれる。広場や遊具もあるため、散策や運動に適している。
慈恩寺沼は「さいたま市立岩槻北部公民館」の隣に位置し、親水公園として整備されている沼です。近くには慈恩寺(地図)という歴史あるお寺があり、沼名の由来となっています。


沼の周囲は約600メートルの遊歩道になっており、ジョギングや散歩にちょうどいい距離感。噴水もあり、開放感のある景観が特徴です。
この公園は釣りが許可されており、護岸も整備されているため、多くの釣り人に親しまれています。


公園内にはベンチやトイレ、自動販売機が設置され、駐車場も無料で利用可能。さらに子どもが遊べる遊具や広場もあり、家族連れでも楽しめるスポットです。




園内は清掃が行き届いており、水鳥がのんびりと泳いでいる姿も見られ、全体的にホッコリとした雰囲気が漂っています。特に紅葉の時期には美しい景色が楽しめそうです。


上院調節池(じょういんちょうせつち):さいたま市

さいたま市岩槻区に位置する洪水調節施設であり、防災機能を備えつつ、地域住民の憩いの場としても利用されています。約7.5haの広大な敷地に遊歩道が整備され、散歩やジョギングにも適した環境です。
上院調節池は洪水対策を目的として造られた人工の調節池です。その名の通り「沼」ではありませんが、先ほど紹介した慈恩寺沼と地形的な関係が深いため、敢えて取り上げることにしました。


上院調節池の東側には古隅田川が流れており、この流れによって古隅田川自然堤防が形成されています。
自然堤防についてより詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。

なお、微高地である自然堤防の背後には後背湿地という低湿地帯が形成されるため、自然堤防の近くには水田や沼の多いエリアが存在することが一般的です。
実際、この地域も上院調節池から慈恩寺沼にかけて広大な低湿地帯が広がっています。


つまり、上院調節池も慈恩寺沼も古隅田川自然堤防によって形成された後背湿地内の水域であり、慈恩寺沼は親水公園として、上院沼?は調節池として整備されたものと考えられます。

このように、元々は自然の力で形成された湿地帯だったこともあり、上院調整地は人工的な施設でありながらも、自然沼の風情を感じさせてくれます。
釣りの可否については明確な掲示は見当たりませんでしたが、防災施設としての性質を考慮すると、許可されていないと考えるのが妥当でしょう。


内牧黒沼公園(うちまきくろぬまこうえん):春日部市

約1.4haの中に蓮池、トンボ池、菖蒲田・アイリス畑、ホタル小屋等があります。アスレチック広場を有する内牧公園の一部といった位置付けで、自然観察を目的とした公園です。
内牧黒沼公園はアスレチック広場やバーベキューで有名な内牧公園のすぐそばに位置し、自然観察が楽しめるエリアとして整備されています。
かつては沼だったとも考えられますが、現在は蓮池やトンボ池、ホタル小屋などが設置され、市民の憩いの場となっています。



公園周辺は広大な湿地帯と水田が広がる風景が魅力的で、ジョギングや犬の散歩を楽しむ人も。特に蓮の花が咲く時期の口コミ評価が高く、木道を歩きながら自然を十分に満喫できそうです。



しかし私たちが訪問した際(2月)はで水がほとんどなく、水溜りに近いものがある程度でした。そのため、特に掲示はありませんでしたが、実質的にも釣りは禁止と考えたほうがよさそうです。
アクセスは内牧公園の駐車場が利用できるため便利で、アスレチックやバーベキューとセットで楽しむのがおすすめです。


黒浜沼・上沼(くろはまぬま・うえぬま):蓮田市

元荒川の洪水による自然堤防で形成された沼。寛永期に堤が築かれ、上沼と下沼に分かれました。埼玉県の自然環境保全地域に指定され、ホタルの生息地としても知られる。釣りやバードウォッチングの名所としても知られます。(Wikipedia)
黒浜沼(上沼)は元荒川の自然堤防によってできた沼で、かつては一つの大きな沼でした。
しかし農業利用の過程で二つに分かれ、現在の形になっています。このような分離は沼界では珍しくなく、印旛沼(北印旛沼・西印旛沼)の事例と似た経緯をたどっています。



現在は埼玉県の自然環境保全地域に指定され、美しい景観と豊かな生態系が維持されています。
現地では鳥や昆虫の生息密度が高く、まさに「生き物の息吹を感じる沼」といった印象。釣りは禁止されておらず、実際に釣りを楽しんでいる人の姿も見られます。


駐車場は完備されていますが、沼までは少し距離があるためか沼のほとりまで車で乗り入れている方もいました。(実際の駐車や走行は交通ルールや現地案内に従ってください)
特に印象的だったのは、木道が整備されている西岸です。自然の風合いが残る風情ある木道で、沼の景色を存分に楽しむことができます。


また100円で噴水を出せるユニークなサービスもあり、試してみると約5分間、沼の中央から勢いよく水が噴き上がりました。
唯一の難点はトイレの無いこと(少なくとも私たちは発見できませんでした)で、訪れる際は事前に近隣のトイレを確認しておくことをおすすめします。



冬場は景色がやや寂しげでしたが、春や夏にはさらに美しい風景が広がることでしょう。特に夕暮れ時の景色は感動的で、「これぞ沼巡りの醍醐味」と感じました。


黒浜沼・下沼(くろはまぬま・したぬま):蓮田市

黒浜沼の一部で、かつては上沼とつながっていましたが、寛永期に築かれた堤によって分離されました。航空写真ではその姿を確認できますが、現地では近付くことも目視することも難しくなっています。(Wikipedia)
黒浜沼(下沼)はかつて上沼とつながっていたものの、堤の建設により分離されました。地図上では確認できますが、現地ではアシに覆われており、容易に目視することはできません。
沼の周囲には畑が広がっていますが、私有地の可能性が高くいため立ち入るべきではありません。周辺で高台となっている黒浜諏訪神社前から観察を試みましたが、残念ながら視界は開けませんでした。



とはいえ、人の目が届きにくい場所は動物たちにとって安全な環境。下沼は野生生物の貴重な生息地として機能していると感じました。
釣りや自然観察を楽しむなら上沼、人の手が入らない自然のままの環境が保たれる場所として下沼が存在するという、良いバランスが保たれているのかもしれません。


赤坂沼(あかさかぬま):さいたま市

元荒川の氾濫によって形成された自然沼で、周囲約800m。南側の斜面林から流れる栄養豊かな水が生態系を育んでいます。多様な樹木や湿性植物が生い茂り、野鳥やトンボなども生息。美しい自然景観が評価され、「さいたま100景」に選ばれています。
この沼はほとりに近づくことができず、おそらく私有地のため立ち入りは不可。周囲はフェンスで囲まれており公園として整備されているわけでもないため、不用意に侵入することは厳禁です。
特に子どもが遊びで立ち入ると危険なタイプの沼で、「怖い沼」の代表格ともいえるかもしれません。
駐車場もなくアクセスは困難ですが、それゆえに人の手がほとんど加わらず理想的な形で残っている「沼オブ沼」ともいえます。
昭和沼(しょうわぬま):久喜市

久喜菖蒲工業団地の整備に伴い1977年に完成した人工池です。かつては小川の多いい湿田地帯でしたが、広大な昭和沼として掘削され工業用水として利用されています。久喜菖蒲公園として整備され、休日には多くの家族連れで賑わいます。(Wikipedia)(写真提供:photo AC)
昭和沼はかつての湿地帯を工業地帯として整備するために掘削され、工業用水を確保する目的で作られた人工池です。
そのため周囲には無機質な工業地帯が広がっていますが、その中心には久喜菖蒲公園という広大で美しい公園が整備されており、工業地帯の中に突如現れる異空間のような雰囲気を醸し出しています。



ここは休日には多くの家族連れが訪れ、ちょっとした遊園地のような賑わいを見せています。園内には木製デッキやジョギングコース、ボート乗り場、バーベキューエリ、レンタサイクルなどもあります。
またここは釣りも楽しめる場所で、有料の釣り場と無料で釣りが許可されているエリアの両方が存在し、幅広い楽しみ方ができる万能沼といえます。


また公園内には沼を眺めながらスイーツやおいしいコーヒーを楽しめるカフェもあり、家族連れだけでなく、ゆったりと過ごしたい人にも最適なスポット。
関東地方でもトップクラスに魅力的な沼ではないでしょうか。


ただし久喜菖蒲公園では写真撮影に制限があるため、SNSなどに投稿する際は注意が必要です。詳細は公式サイトを確認するとよいでしょう。
なお、本サイトに掲載している園内の写真はフリー画像サイトから取得したものを使用しています。
まとめ
この記事では埼玉県内のさまざまな沼を実際に訪れ、それぞれの環境や設備、釣りの可否などを詳しく紹介しました。
実際に足を運んでみると、釣り人で賑わう沼もあれば農業用や発電施設として利用されている沼もあり、一口に「埼玉の沼」と言ってもその実態は大きく異なります。
事前に情報があれば「思っていたのと違った」となることを防ぎ、目的に合った沼を選ぶことができます。この記事が釣りや散策を楽しみたい方の参考になれば幸いです。
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